
稍重・重・不良など、雨の競馬はどのように馬券を買えばよいのでしょうか? 競馬歴20年の筆者が、わかりやすく説明します!

Step1 穴場券を獲る第1歩は荒れるレースの見極め。その基本が「坂」の有無です。JRAは、坂と直線の長さで、配当を制御しているからです。
Step2 波乱レースの見極めは、コース(坂・直線)×クラス×条件×オッズ×頭数の5要素です。
Step3 波乱レースと判定したら、芝の場合、当日のトラックバイアスを簡単な方法で把握します。ダートは雨量だけで十分。芝でも新馬・未勝利は余り気にしなくて良いです。
Step4 2020年からトラックバイアスに「クッション値」の指標が加わりました。
Step5 購入レースを決め、いよいよ出馬表の検討となれば、まず1番人気の信頼度を検討します。1番人気の取捨こそ、穴場券のカギです。
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雨の芝コースの狙い方|稍重・重・不良

馬場状態については、イメージやうわさに惑わされず、データを見ることも重要です!
馬場状態の割合
良 | 稍重 | 重 | 不良 | |
芝 | 77% | 16% | 5% | 1% |
ダート | 60% | 24% | 10% | 6% |
(四捨五入のため合計は100とは限らず。以下同じ)
上の表のように、芝コースでは21%のレースが稍重または重馬場として実施されています。ダートより水はけがよく、不良馬場になることはほとんどありません。
近年、とくに東京競馬場の芝コースでは、水はけが良くなったイメージがありますが、実は10年前(2008~2009年)のデータとほとんど変わっていません。
1人気は、稍重・重で強い
馬場状態別の1人気の勝率
良 | 稍重 | 重 | 不良 | |
芝 | 33% | 35% | 36% | 22% |
ダート | 31% | 31% | 34% | 28% |
稍重、重の芝コースでは、意外にも1人気の勝率がアップします。これは、乾いた高速馬場による人気薄の逃げ込み、前残りを許さず、自身の持つ瞬発力も発揮できるということでしょう。
馬場状態別の1人気の単勝回収率
良 | 稍重 | 重 | 不良 | |
芝 | 77 | 84 | 92 | 59 |
ダート | 72 | 73 | 81 | 63 |
単勝回収率は、重馬場では92円まであがります。一般的なイメージに反し、稍重、重馬場では、1人気(または強いと判断できる馬)を軸にするのは、理にかなっているとも言えます。
芝の稍重、重では、1人気の信頼度は高くなる。
雨で芝が痛むケースは激減!

競馬歴が長い方は、特にローカル競馬場では、雨の競馬でどんどん芝が痛み、馬場が掘り返され、波乱になると思っていませんか?
かつての中央競馬では、温暖な気候に合い踏み荒らしに強い野芝がメインで使われていました。しかし、ジャパンカップの枯れた芝が批判され、踏み荒らしに弱いものの秋冬にも強い、ヨーロッパ型の洋芝も使われています。
以下の内容は、覚えておいても損はありません。
- 本州の競馬場 … 野芝も含むコースで傷みにくい(ただし、夏競馬がある小倉、福島、中京は、傷みやすい)
- 札幌、函館 … 洋芝のみのコースで傷みやすい
(注)新潟は開催時期に芝を休ませる工夫があり、傷みにくくなっています。
小倉、福島、中京、札幌、函館では、芝が痛みやすいと言えますが、データを取ると1人気の勝率は、中央場所と差はありませんでした。
芝の稍重、重では、1人気の信頼度は高くなる。ローカルも中央場所も差はない。
雨(稍重・重・不良)に強い種牡馬がいる?

一般に、雨に強い種牡馬(重馬場巧者)がいると言われます。ステイゴールド、ダイワメジャー、ロードカナロアがよく挙がりますが本当なのでしょうか?
馬場状態別の勝率(単勝回収率)
良 | 稍重以下 | |
ステイゴールド | 9.4%(70%) | 6.8%(58%) |
ダイワメジャー | 8.6%(66%) | 9.5%(118%) |
ロードカナロア | 12.9%(86%) | 15.0%(73%) |
うわさに反し、明らかに狙えるのは、ダイワメジャーだけでした。そのダイワメジャーにしても、稍重・重・不良の複勝率は28.3%。この数値は、これだけを根拠に軸馬にできるというものではありません。
ヒント 20年の経験から、単独の要素だけで軸馬候補にして良いのは、複勝率40%が目安です。
つまり、雨が降ったときでも、確立された自分なりの予想手段を使い、最後の加点で種牡馬を使うのが適切です。
- × 種牡馬を軸に予想を行う
- 〇 種牡馬を予想の1要素に加える
芝の稍重・重で狙える種牡馬ランキング
レース検索 種牡馬別集計
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
アルデバラン2 | 3- 6- 5- 48/ 62 | 4.8% | 14.5% | 22.6% | 34 | 159 |
エピファネイア | 6- 8- 6- 30/ 50 | 12.0% | 28.0% | 40.0% | 301 | 158 |
ローレルゲレイロ | 2- 3- 4- 44/ 53 | 3.8% | 9.4% | 17.0% | 20 | 129 |
ゴールドアリュール | 5- 9- 5- 70/ 89 | 5.6% | 15.7% | 21.3% | 131 | 128 |
ナカヤマフェスタ | 9- 5- 11- 123/ 148 | 6.1% | 9.5% | 16.9% | 115 | 115 |
アイルハヴアナザー | 8- 12- 9- 123/ 152 | 5.3% | 13.2% | 19.1% | 117 | 110 |
ブライアンズタイム | 4- 3- 6- 37/ 50 | 8.0% | 14.0% | 26.0% | 73 | 105 |
バゴ | 10- 10- 6- 128/ 154 | 6.5% | 13.0% | 16.9% | 112 | 101 |
フジキセキ | 6- 5- 5- 49/ 65 | 9.2% | 16.9% | 24.6% | 128 | 100 |
タニノギムレット | 14- 14- 16- 208/ 252 | 5.6% | 11.1% | 17.5% | 68 | 99 |
オレハマッテルゼ | 7- 8- 6- 55/ 76 | 9.2% | 19.7% | 27.6% | 70 | 99 |
サムライハート | 3- 12- 14- 136/ 165 | 1.8% | 9.1% | 17.6% | 39 | 98 |
ダノンシャンティ | 15- 21- 13- 147/ 196 | 7.7% | 18.4% | 25.0% | 61 | 95 |
ベーカバド | 6- 14- 8- 126/ 154 | 3.9% | 13.0% | 18.2% | 105 | 94 |
マイネルラヴ | 0- 3- 6- 50/ 59 | 0.0% | 5.1% | 15.3% | 0 | 93 |
ダイワメジャー | 79- 79- 84- 603/ 845 | 9.3% | 18.7% | 28.6% | 119 | 92 |
ショウナンカンプ | 11- 6- 5- 102/ 124 | 8.9% | 13.7% | 17.7% | 158 | 92 |
アドマイヤオーラ | 4- 5- 6- 40/ 55 | 7.3% | 16.4% | 27.3% | 72 | 91 |
ソート:複回値順 レース機会数 : 50 回以上
少し耳慣れない種牡馬もいますが、統計的に正しいランキングです。
突発的な高配当(とくに単勝万馬券)の影響を受けやすい、単勝回収値から作ったランキングや、統計分母が少ない(単勝なら最低150)ランキングがよく見られますが、あまり参考になりません!

このランキングは、記事前半で説明したように、あくまで予想の1要素です。複勝回収率が40%を超えるエピファネイヤ(甘く見ても29%のダイワメジャーまで)に限っては、芝の稍重・重という要素だけでピックアップしても構いませんが、ほかはあくまで1要素という点に注意してください!
新馬なら素材、未勝利なら時計と素材、時計差が少ない重賞では、適性(そのコース、その日の馬場、そのレースの展開に合うか)・陣営の勝負度・騎手が予想の最大要素となります(条件戦は、時計差がある場合とない場合があります)。
馬場巧拙はあくまで1要素!
もし、重賞なら、つぎのように重馬場巧拙は、あくまで1要素としてください。
芝の重賞予想の枠組み
良馬場 | 稍重・不良 | |
時計は足りているか | 〇 | 〇 |
コース適性 | 〇 | 〇 |
その日の馬場適性 | 〇 | 〇 |
そのレースで有利な位置取りの馬か | 〇 | 〇 |
陣営の勝負度(ローテ) | 〇 | 〇 |
騎手のレベルや得手不得手 | 〇 | 〇 |
種牡馬の稍重・重巧拙 | 〇 |
初心者の方ほど、雨の日は種牡馬だけで狙って、大損してしまう傾向です。記事前半に示したように、現代競馬では、稍重・重で傾向はほとんど変わりません。背景には、馬場管理技術の向上があり、雨で崩れるイメージのローカルでも、崩れにくくなりました。
普段から、自分なりの予想ロジックを組み立てておくことが必須です。この辺りの事情は、筆者のメルマガ(マネードラゴン馬券塾)でもレクチャーしています。

Step1 穴場券を獲る第1歩は荒れるレースの見極め。その基本が「坂」の有無です。JRAは、坂と直線の長さで、配当を制御しているからです。
Step2 波乱レースの見極めは、コース(坂・直線)×クラス×条件×オッズ×頭数の5要素です。
Step3 波乱レースと判定したら、芝の場合、当日のトラックバイアスを簡単な方法で把握します。ダートは雨量だけで十分。芝でも新馬・未勝利は余り気にしなくて良いです。
Step4 2020年からトラックバイアスに「クッション値」の指標が加わりました。
Step5 購入レースを決め、いよいよ出馬表の検討となれば、まず1番人気の信頼度を検討します。1番人気の取捨こそ、穴場券のカギです。
関連
ここから下は改訂中です!
雨でダートの馬場状態が悪化(稍重・重・不良)した際の狙い方
雨天時、ダートの馬場状態の変化は、稍重・重・不良では推し量れない
ダートでは重賞開催が少ないこともあり、馬場状態に関しては、「稍重・重では時計が速くなり、不良は降水量にもよる」のような、大まかな解釈で済まされてしまうことが多いようです。
しかし、多くの人が軽んじている部分にこそ、「稼ぎ」の要素は潜んでいます。
ダートの馬場は、単純に砂が敷き詰められているわけではありません。簡単に言えば、学校や公園のグラウンドのような土の上に、9センチの砂をかぶせた構造です(JRAの場合)。この砂は、青森県の六ケ所村の海岸から採取されています。
ダートの馬場は、稍重・重・不良の区別よりも、当日のレース傾向から状況をつかむことがおすすめです。多くの人がJRA発表の馬場状態を中心に予想を組み立てますので、ここにチャンスが生まれます。ダートの馬場の様子は、「稍重」「重」「不良」などの馬場状態と必ずしも正比例するわけではありません。
ダートの馬場状態別の1番人気成績
1勝率 | 複勝率 | 複勝回収率 | |
良 | 6.9 | 20.6 | 74 |
稍重 | 6.9 | 20.6 | 74 |
重 | 6.8 | 20.3 | 78 |
不良 | 6.7 | 20.2 | 75 |
このように、ダートでは馬場状態が変化しても、時計実績がある1番人気の数値は変化しません。これは、競馬新聞やファンが、馬場に合わせた予想をし馬券を購入しているからだとされます。しかし、それは本質を突いているわけではなく、大荒れとなり1人気が飛び続ける日もあれば、良馬場以上に1人気が圧勝する日もあり、その平均値としての数値と見るべきでしょう。つまり、稍重・重・不良には、それぞれ2種類あるのです。
稍重・雨(小雨含む)のダートの1番人気成績
勝率 | 1複勝率 | 複勝回収率 | |
稍重・雨 | 6.8 | 20.5 | 66 |
一見、馬場状態に無関係と思えるダートの競走成績ですが、切り口によっては数値に動きが出ます。例えば、「行きの稍重」と呼ばれる、雨天時の稍重では、1人気の複勝回収率は、目に見えて落ちます。ただし、これはデータにはっきり現れた方で、ダートの馬場状態は、その日その日の個性が強く、データでの検出は難しくなっています。その辺りも、芝に比べ、ダートの馬場変化は単純と誤解される要因となっています。
ダートの馬場状態の正しいつかみ方
ダートの馬場状態をつかむためには、当日のレース傾向を見ていくのが一番です。当日のレース傾向で、見るべきところは以下の通りです。
(1)勝ちタイムのレベル
クラスの平均勝ちタイムは、競馬ラボ「全競馬場コースデータ」で調べられます。ただし、ダートコースの砂は夏に洗い整備し最もパワーを要する状態となります。秋競馬は、多少(0.25秒)遅く見積もってもよいでしょう。
(2)1人気の着順
時計の水準が高い1人気馬に、ベテランや中堅の騎手が乗り、楽な相手に大凡走した場合、不規則な馬場のシグナルになります。これは、通年の仕掛けどころが無効になっているということになります。
(3)好走騎手の出現
特定の騎手が繰り返し好走している場合、ダートの馬場状態は不規則だと考えられます。その特定の騎手が、何らかの傾向をつかんでいる状態です。
(4)穴馬の好走状況
馬場が不規則なほど、穴馬が上位に顔を出します。
(5)馬場状態
ダートの場合、稍重・重および不良の一部は、(原則として)時計が速くなります。だからと言って、時計実績のある人気馬が強い日ばかりではなく、馬場の負荷が軽くなり、時計下位にもチャンスが生まれる場合もあります。
以上が、降雨時や週中に雨が降った場合の、ダートの馬場状態の見方です。ポイントは、稍重・重・不良の発表だけに依存せず、当日のレース結果やVTRを確認することです。雨天時のダートの、稍重・重・不良には、それぞれ2種類の別の状態があることを知るだけでも、見方が大きく変わってきます。
※注意点
午前中のダート戦の結果を見て、午後のレースの方針を立てる場合、注意すべきことがあります。それは、未勝利クラスの馬と、上級クラスの馬で傾向が異なる場合があるということです。これは、上級クラスの馬にパワーがあり、砂を圧迫する力や掻き出す力が、強いためと考えられます。午前中のレース傾向に注視すぎることのないように、年間のレース傾向を押さえておく必要があります。
非常に複雑ゆえに稼ぎになる、雨のダート

上に示したように、ダートの馬場状態は、実は芝以上に複雑で未解明の要素があります。同じ稍重でも、持ち時計のある人気馬に有利であったり、全く逆であったりと、生き物のように変化します。これは、芝以上に、興味深い部分です。
雨の場合、通常は砂浜の波打ち際のような締まった砂になるので走りやすいと解釈されますが、必ずしも正確とは言えません。場合によっては、砂が変質し、持ち時計のない馬が上位に顔を出すと考えられます。この辺りの事情は、秘匿性が高いため、メルマガでお話ししてゆこうと考えています。
また、ダートの不良は、時計が速くなる場合と、水が浮きかえって遅くなる場合があります。時計が速い場合、雨水に砂が溶け込んでいる状態で、水を張ったグランドを走っている状態となり、負荷が軽いものの高速馬場となり、人気馬(=時計上位)の活躍が目立つようになります。
さらに、稍重は、良→稍重と変化した場合よりも、稍重→良の変化過程のほうが、空気が抜け負荷が軽い馬場になると言われます。これは「帰りの稍重」と呼ばれ、「行きの稍重」と対照的に捉えられます。過去5年のデータからは、行きの稍重の方が荒れやすいと出ますが、実際に予想していると、帰りの稍重も、かなり荒れる日があります。
私事ですが、当ブログ発行のメルマガでは、ダートの馬場状態が把握でき、流れに乗ると連続的中することがあります。例えば2017年の4月1週は、4クラの予想が全て的中しました。
- 土曜・中山1R 単勝2690円的中(5点)
- 土曜・阪神2R 複勝110円的中(1点)
- 土曜・中山7R 単勝3170円的中(5点)
- 土曜・中山1R 単勝5100円的中(5点)
この週は、ダートの馬場状態の推定と、予想ロジックが上手く噛み合い、メルマガでは、約19万円の利益につながりました。メルマガでは、芝の馬場分析は現在行っていませんが、研究者が少なく稼ぎになりそうな、ダートの馬場分析は積極的に行っています。
(まとめ)雨によりダートの馬場状態が悪化(やや重・重・不良)した時の狙い方
ダートの馬場状態悪化(やや重。重・不良)時は、JRA発表の馬場状態にこだわらず、当日・前日のレース結果から、正確な馬場状態を推測する必要があります。
良馬場以上に、時計の速い馬の独擅場になる日もあれば、人気薄が続けて好走する日もあります。前者なら本命馬の複勝に大枚を張っても良いですし、後者なら穴サイドを狙うことになります。

Step1 穴場券を獲る第1歩は荒れるレースの見極め。その基本が「坂」の有無です。JRAは、坂と直線の長さで、配当を制御しているからです。
Step2 波乱レースの見極めは、コース(坂・直線)×クラス×条件×オッズ×頭数の5要素です。
Step3 波乱レースと判定したら、芝の場合、当日のトラックバイアスを簡単な方法で把握します。ダートは雨量だけで十分。芝でも新馬・未勝利は余り気にしなくて良いです。
Step4 2020年からトラックバイアスに「クッション値」の指標が加わりました。
Step5 購入レースを決め、いよいよ出馬表の検討となれば、まず1番人気の信頼度を検討します。1番人気の取捨こそ、穴場券のカギです。
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