ブローザホーンが、2024年の京都大賞典で「仕上がり不十分」で大敗したと話題になりました。そこでこのページでは、調教と着順(馬券期待値)の関係をデータから探ってみます。
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結論ファースト 追い切りと馬券期待値の関係
・最終追切(本追切)よりも、前走後(または入厩後の)複数の追い切りの全体像の方が、馬券の期待値との結びつきが深い。
・ただし、人気に推されるような馬は、追切評価が出走馬中14~18位クラスでも馬券となっているので、すでに人気に織り込み済みともいえ、無理に見る必要はない(特に年間の収支を重視する場合)。
・どうしてもそのレースを当てたいなど、個々の馬やレースにスポットを当てる場合、追い切りを縦に比較するとよい。人気でも、陣営が仕上げに苦しんでいる馬をピックアップすることが可能。
最終追切(本追切)と馬券期待値
競走馬の調教(追い切り)は、前走後、または放牧先(外厩)から帰厩した時点から始まります。
例えば、2024年の京都大賞典では、最小で2本、最大で12本の追い切りが実施されていました。そのなかで、レース週の水曜か木曜に行う、原則最後の調教を最終追い切り、本追切と呼びます。
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過去4年間、最終追い切りの時計的な評価を、1~6位、7~12位、13~18位に分け、複勝の的中率と回収率を集計しました。
最終追切評価 | 複勝率 (%) | 回収率 (%) |
1~7位 | 26.2 | 79.4 |
8~13位 | 19.2 | 69.8 |
14~18位 | 15.2 | 67.2 |
上記のように、最終追切は、高い評価を得ている馬の方が、好走率が高いことが分かります。京都大賞典でのブローザホーンの調教評価は、評価方法にもよりますが、11頭中11位と言ってよいものであり、好走率は下がります。
最終追切評価 | 複勝率 (%) | 回収率 (%) |
1~7位 | 65.5 | 84.6 |
8~13位 | 62.1 | 82.9 |
14~18位 | 59.1 | 82.8 |
しかし、1番人気に絞ってみると、上のようにかなり地味な調教でも、あまり数値は動きません。
調教が地味でも1番人気に推されるような馬は、普段からそれで結果を出すことが多いことが読み取れます。京都大賞典のブローザホーンも1番人気でした。そのため、年単位のデータで見れば、京都大賞典でブローザホーンを買ったとしても、誤りではありません。
しかし、馬単位、レース単位で見れば、ブローザホーンを追い切りを理由に切ったとしても、それも誤りではありません。
上は、京都大賞典のブローザホーンの最終追切と、その前2回の追い切りです。速い時計を示す、黄色の網掛けが、一杯に追ったときの最後の1ハロンだけとなっています。
GⅠの調教と比較するのは正しくなく、同じ前哨戦の阪神大賞典前の、最終追切とその1つ前の追い切りです。最終追切は多少タイムが速くなった程度ですが、1つ前の坂路での追い切りは好タイムが出ています。
京都大賞典の9月25日の坂路追いと比べれば違いは歴然です。また、京都大賞典で見られた一杯調教は、1年5か月前の烏丸ステークス以来でした。
調教を縦に丁寧に見てゆけば、仕上がりが悪く慌てて一杯調教を施したことが読み取れますし、ここが読み取れると、道悪の宝塚記念でのハードな競馬での優勝が効いている可能性も考えられます。
ただしこのような個々の馬ごとレースごとの判断は、基準があいまいであり、その判断をくり返した場合、年間でどう回収率が動くのかが考慮されていません。とりあえずは、「1番人気なら、最終追切評価が14~18位でも十分に結果が出ており、原則買う」という考え方の方が、投資競馬としては正しいです。
最終追切を詳細に評価する場合、あくまで「微調整」という位置づけが良いでしょう。
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追切の全体評価と馬券期待値
ブローザフォーンの阪神大賞典前の追い切りのように、最終追切は軽めで、その前に力の入った追い切りが行われていることもあります。そのため、前走または入厩後から続く追い切り全体を評価することも必要です。
複数回の追い切りの総合的な時計評価を、1~6位、7~12位、13~18位に分け、複勝の的中率と回収率を集計しました。
追切全体の評価 | 複勝率 (%) | 回収率 (%) |
1~7位 | 27.5 | 79.5 |
8~13位 | 18.8 | 72.3 |
14~18位 | 12.1 | 60.8 |
追い切り全体の評価が優れている方が、馬券の確率も期待値も高いことが分かります。特に14~18位は「最終追切が14~18位」に比べ、複勝率・回収率とも落ち込みが顕著です。
このことから、調教を馬券に生かすには、最終追切だけでなく、複数回ある追い切り全体を見るとよいです。また、上のブローザホーンの阪神大賞典前、京都大賞典前の比較でも分かるように、追い切り全体を縦に見る(同じ馬の過去と比較する)ことが重要です。
追い切りを縦に比較する場合、馬なり・強め・一杯/併せ馬の有無といった追い方を考慮することはもちろんですが、厳密には馬場状態、追い役(騎手は体重が軽いため時計が出る)、馬場の内・外のどこを走ったのかなどの考慮も必要で、細かい時計の比較は必要ありません。
細かい時計ではなく、馬の走りを想像します。
上のCWコースの調教では、仕上がりの悪さに焦った調教師が、助手に一杯に追う指示を出したにも関わらず、併せた2頭には遅れ、ようやく最後の1ハロンで、無理にでも恰好をつけた形です。
なお、最終追切(本追切)同様、追い切りの全体も、1番人気に絞れば、例えその評価が14~18位でも馬券の期待値は変わりません。
※馬の走りを調教映像で解説しているケースがありますが、最終追切に特化し、縦の比較もしづらいため、その都度の予想には参考になると思いますが、年間収支への影響は不明瞭です。ブローザホーンのケースを見ても、騎手自身が本番では変わりそうとジャッジしたくらいで、乗っていても分からない以上、映像での判断は難しいです。追い切りの全体像を、縦に比較する方が、専門知識なしでも結果につながりそうです。
追い切りと馬券期待値の関係
・最終追切(本追切)よりも、複数の追い切りの全体像の方が、馬券の期待値との結びつきが深い。
・ただし、人気に推されるような馬は、追切評価が14~18位クラスでも馬券となっているので、すでに人気に織り込み済みともいえ、無理に見る必要はない(特に年間の収支を重視する場合)。
・どうしてもそのレースを当てたいなど、個々の馬やレースにスポットを当てる場合、追い切りを縦に比較するとよい。人気でも、陣営が仕上げに苦しんでいる馬をピックアップすることが可能。
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