近年、G1でぶっつけで走る馬が増え、休み明けの話題が減りました。しかし、調べてみたところ、意外なところで休み明けは、生きていました。狙える条件や連闘についても説明します。
競馬歴20年、メルマガ・マネードラゴン馬券塾は
マイル以下の距離では、中5週以上の休み明けと連闘が不利。とくにダートでそう言えるが、芝でも多少当てはまる。
ただし、以下の条件を満たした場合、不利を跳ねのけることがある
- リーディング上位騎手に依頼した馬
- リーディング上位厩舎(とくにノーザンF天栄、しがらきで仕上げた馬)
- 3歳秋~5歳の馬
- 大型馬(480キロ以上)
- 芝の重・不良
(1700m以上では芝ダートとも、半年以上の休み明け以外は気にしなくてもよい)
ぶっつけでG1に出るのが当たり前になった
1993年の有馬記念では、トウカイテイオーが1年ぶりの出走で勝利し「奇跡の復活」と言われました。しかし、近年はグランアレグリアが、暮れの朝日杯FS3着から中111日で完勝したように、休み明けの不利は無くなったと、言われます。
その立役者が、ノーザンファーム天栄。美浦トレセンの、実に2倍、36mの高低差を持つ坂路が売りの育成牧場です。また近年は、社台系以外でも、育成技術が上がり、休み明けの取捨は過去のものになったようにも感じます。
筆者発行のメルマガ・マネードラゴン馬券塾では、短距離ダートの◎が、11回連続馬券圏内を記録していました。しかし、2021年4月4日の阪神2R(ダ1200)で、記録がストップ。長期休み明けの馬でした。これを機会に、休み明けの成績を調べてみました。
毎日王冠 東京芝1800mの傾向と攻略法は?
ダート1600以下は、中5週以上は見送り
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
連闘 | 67- 58- 73- 856/ 1054 | 6.4% | 11.9% | 18.8% | 54 | 63 |
2週 | 371- 432- 380- 3819/ 5002 | 7.4% | 16.1% | 23.7% | 73 | 72 |
3週 | 583- 558- 559- 4897/ 6597 | 8.8% | 17.3% | 25.8% | 76 | 75 |
4週 | 339- 372- 310- 3228/ 4249 | 8.0% | 16.7% | 24.0% | 72 | 79 |
5~ 9週 | 509- 559- 569- 7470/ 9107 | 5.6% | 11.7% | 18.0% | 64 | 75 |
10~25週 | 494- 390- 449- 6730/ 8063 | 6.1% | 11.0% | 16.5% | 75 | 68 |
半年以上 | 54- 40- 72- 1174/ 1340 | 4.0% | 7.0% | 12.4% | 64 | 67 |
初出走他 | 195- 190- 196- 2857/ 3438 | 5.7% | 11.2% | 16.9% | 74 | 62 |
集計期間:2018. 1. 1 ~ 2019. 12.31
意外なデータが出たのが、ダートです。ダートの休み明けを距離別に分析すると、1600m以下(短距離・マイル)、1700m以上(中長距離)に分類するのが、1番傾向差が出ることがわかりました。
一般的なイメージでは、休み明けは心肺機能が整わないので、中長距離では不利だが、短距離は問題ない、となります。しかし、結果は正反対で、短距離・マイルの中5週以上で、明らかな成績落ちが見られました。ダート1600以下は、中5週以上は見送りと結論づけられます。
ダートの短距離・マイルでは、加速力やマックスのスピードが問われます。これらは生まれ持ったもののため、休み明けでも関係ないという見方もありますが、データは正反対でした。休み明けでは、急加速や最高速度が鈍るということかも知れません。ダートの短距離・マイルで中5週以上は見送りです(1ヶ月が限度)。
なお、前走も距離が短く疲れがないため、いかにも走りそうな連闘も、結果が出ていません。ダートの短距離・マイルで5週以上の休み明けと連闘は見送りです。
ダート1700以上は、半年以上の休み明けは見送り
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
連闘 | 57- 63- 74- 1025/ 1219 | 4.7% | 9.8% | 15.9% | 67 | 64 |
2週 | 385- 477- 460- 4507/ 5829 | 6.6% | 14.8% | 22.7% | 62 | 75 |
3週 | 591- 602- 572- 5250/ 7015 | 8.4% | 17.0% | 25.2% | 75 | 75 |
4週 | 335- 321- 283- 3054/ 3993 | 8.4% | 16.4% | 23.5% | 84 | 73 |
5~ 9週 | 460- 418- 493- 5050/ 6421 | 7.2% | 13.7% | 21.4% | 81 | 79 |
10~25週 | 406- 367- 363- 4635/ 5771 | 7.0% | 13.4% | 19.7% | 80 | 73 |
半年以上 | 58- 58- 44- 821/ 981 | 5.9% | 11.8% | 16.3% | 61 | 63 |
初出走他 | 130- 119- 123- 1544/ 1916 | 6.8% | 13.0% | 19.4% | 95 | 79 |
集計期間:2018. 1. 1 ~ 2019. 12.31
ダートの中長距離(1700m以上)では、一般的なイメージ通り、休み明けにほとんど不利はありません。ただし、半年を越えると、成績が目に見えて落ちることがわかりました。
なお、連闘も成績が目に見えて落ちています。
- ダートの短距離・マイルでは、5週以上の休み明けと連闘は不可
- ダートの中長距離では、半年以上の休み明けと連闘は不可
なお、10~25週は幅がありますが、10~17週、18~25週のように切り分けて再計算しても数値に変動はないので、ご安心ください。
芝は、半年以上の休み明けは見送り
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
連闘 | 100- 110- 120- 1887/ 2217 | 4.5% | 9.5% | 14.9% | 43 | 57 |
2週 | 492- 539- 617- 6719/ 8367 | 5.9% | 12.3% | 19.7% | 69 | 70 |
3週 | 846- 875- 882- 8073/10676 | 7.9% | 16.1% | 24.4% | 84 | 74 |
4週 | 576- 633- 585- 5542/ 7336 | 7.9% | 16.5% | 24.5% | 69 | 70 |
5~ 9週 | 1188- 1110- 1165-11324/14787 | 8.0% | 15.5% | 23.4% | 75 | 76 |
10~25週 | 1099- 1065- 974-11287/14425 | 7.6% | 15.0% | 21.8% | 76 | 77 |
半年以上 | 125- 92- 95- 1506/ 1818 | 6.9% | 11.9% | 17.2% | 87 | 62 |
初出走他 | 638- 630- 626- 7109/ 9003 | 7.1% | 14.1% | 21.0% | 65 | 69 |
集計期間:2018. 1. 1 ~ 2019. 12.31
芝では、一般的なイメージ通り、距離を問わず休み明けにほとんど不利はありません。ただし、半年を越えると、成績が目に見えて落ちることがわかりました。
また、芝では連闘・中2週も厳しい結果です。ただし、1300m以下では中2週は問題ありません。
(参考)芝1600以下
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
連闘 | 101- 109- 115- 1658/ 1983 | 5.1% | 10.6% | 16.4% | 51 | 59 |
2週 | 478- 503- 565- 5677/ 7223 | 6.6% | 13.6% | 21.4% | 71 | 74 |
3週 | 749- 722- 716- 6963/ 9150 | 8.2% | 16.1% | 23.9% | 78 | 74 |
4週 | 496- 520- 477- 4748/ 6241 | 7.9% | 16.3% | 23.9% | 73 | 71 |
5~ 9週 | 918- 889- 915-10732/13454 | 6.8% | 13.4% | 20.2% | 67 | 74 |
10~25週 | 789- 786- 736-10540/12851 | 6.1% | 12.3% | 18.0% | 74 | 73 |
半年以上 | 76- 76- 83- 1345/ 1580 | 4.8% | 9.6% | 14.9% | 83 | 65 |
初出走他 | 634- 631- 634- 7449/ 9348 | 6.8% | 13.5% | 20.3% | 68 | 68 |
集計期間:2018. 1. 1 ~ 2019. 12.31
芝1600以下では、中5週以上で数値が落ちているのでは?と感じるかもしれませんが、回収率はさほど変化がないため「異常なし」として扱いました。ただし、深い部分では、ダート・芝とも、短い距離ほど(具体的にはマイル以下は)、ローテを選ぶと考えてもよいです。
半年以上の休み明けでも走るのは、この条件
芝でもダートでも、明らかに不利となる、半年以上の休み明けですが、それをモノともしない馬もわずかにいます。どのような条件なら狙えるのでしょうか?
騎手 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
川田将雅 | 17- 10- 3- 37/ 67 | 25.4% | 40.3% | 44.8% | 63 | 107 |
戸崎圭太 | 15- 19- 10- 67/111 | 13.5% | 30.6% | 39.6% | 61 | 88 |
ルメール | 19- 11- 18- 74/122 | 15.6% | 24.6% | 39.3% | 47 | 65 |
福永祐一 | 11- 11- 11- 61/ 94 | 11.7% | 23.4% | 35.1% | 114 | 92 |
M.デム | 13- 6- 6- 57/ 82 | 15.9% | 23.2% | 30.5% | 74 | 67 |
集計期間:2016. 1. 1 ~ 2020. 12.31
ソート:複勝率順 レース機会数 : 20 回以上
半年以上の休み明けでも、陣営がリーディング上位騎手を頼んだ場合は、好走率が高いことが分かります。これは、陣営が勝負になると踏んでいるということです。
調教師 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
(美)木村哲也 | 10- 5- 5-30/50 | 20.0% | 30.0% | 40.0% | 113 | 76 |
(栗)藤原英昭 | 10-11- 7-44/72 | 13.9% | 29.2% | 38.9% | 190 | 103 |
(栗)音無秀孝 | 5- 5- 4-22/36 | 13.9% | 27.8% | 38.9% | 88 | 94 |
(栗)角居勝彦 | 6- 7- 5-30/48 | 12.5% | 27.1% | 37.5% | 121 | 75 |
(美)堀宣行 | 19- 6- 7-54/86 | 22.1% | 29.1% | 37.2% | 108 | 87 |
(栗)中内田充 | 13- 4- 4-37/58 | 22.4% | 29.3% | 36.2% | 70 | 61 |
(美)国枝栄 | 10- 7- 5-44/66 | 15.2% | 25.8% | 33.3% | 84 | 65 |
(栗)大久保龍 | 3- 2- 6-22/33 | 9.1% | 15.2% | 33.3% | 54 | 70 |
(栗)友道康夫 | 5-11- 6-45/67 | 7.5% | 23.9% | 32.8% | 75 | 83 |
(美)藤沢和雄 | 10-13- 8-68/99 | 10.1% | 23.2% | 31.3% | 110 | 121 |
集計期間:2016. 1. 1 ~ 2020. 12.31
ソート:複勝率順 レース機会数 : 20 回以上
リーディング騎手同様、リーディング上位厩舎は、半年以上の休み明けでも、仕上げができていることが分かります。しかし、ノーザンFとの結びつきが強い厩舎が目立ちますので、ノーザンF天栄、ノーザンFしがらきの調整力の反映とも言えます。
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
2歳 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 15 |
3歳 | 128- 117- 121-1916/2282 | 5.6% | 10.7% | 16.0% | 59 | 61 |
4歳 | 133- 112- 118-1626/1989 | 6.7% | 12.3% | 18.3% | 83 | 70 |
5歳 | 77- 75- 99-1190/1441 | 5.3% | 10.5% | 17.4% | 71 | 73 |
6歳 | 29- 26- 30- 737/ 822 | 3.5% | 6.7% | 10.3% | 67 | 59 |
7歳 | 9- 9- 14- 314/ 346 | 2.6% | 5.2% | 9.2% | 69 | 61 |
8歳 | 5- 4- 7- 169/ 185 | 2.7% | 4.9% | 8.6% | 32 | 48 |
集計期間:2016. 1. 1 ~ 2020. 12.31
馬齢でみると、4~5歳の馬は、半年以上の休み明けでもソコソコ走ることが分かります。これは、レースを覚えており、長期休み明けに対応していること。また人間でいうと、16~20歳くらいにあたり、体力が充実していることが背景にありそうです。
なお細かくデータを見ると、3歳でも秋以降は、半年以上の休み明けでの好走率が上がっています。
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
~399kg | 0- 0- 0- 34/ 34 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
400~419kg | 1- 3- 4- 116/ 124 | 0.8% | 3.2% | 6.5% | 6 | 32 |
420~439kg | 10- 10- 18- 375/ 413 | 2.4% | 4.8% | 9.2% | 17 | 34 |
440~459kg | 45- 53- 46- 819/ 963 | 4.7% | 10.2% | 15.0% | 67 | 68 |
460~479kg | 78- 68- 88-1431/1665 | 4.7% | 8.8% | 14.1% | 62 | 55 |
480~499kg | 113- 104- 108-1537/1862 | 6.1% | 11.7% | 17.5% | 74 | 77 |
500~519kg | 85- 70- 81-1029/1265 | 6.7% | 12.3% | 18.7% | 96 | 82 |
520~539kg | 32- 29- 33- 496/ 590 | 5.4% | 10.3% | 15.9% | 58 | 60 |
540~ | 18- 10- 14- 187/ 229 | 7.9% | 12.2% | 18.3% | 71 | 59 |
集計期間:2016. 1. 1 ~ 2020. 12.31
馬体重については、休み明けは大型馬が不利が常識です。しかし結果は正反対。479キロを下回ると、半年以上の休み明けでは不利になっています。
「大型馬の休み明けは割引」は、現在、競馬予想の専門家のなかでは常識に属しますが、データからは、間違っていることになります。
馬場状態 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
芝・ 良 | 131- 134- 139-1850/2254 | 5.8% | 11.8% | 17.9% | 82 | 68 |
芝・稍重 | 29- 24- 19- 380/ 452 | 6.4% | 11.7% | 15.9% | 64 | 53 |
芝・ 重 | 13- 8- 11- 125/ 157 | 8.3% | 13.4% | 20.4% | 79 | 80 |
芝・不良 | 4- 4- 2- 43/ 53 | 7.5% | 15.1% | 18.9% | 188 | 71 |
ダ・ 良 | 118- 92- 123-2009/2342 | 5.0% | 9.0% | 14.2% | 62 | 67 |
ダ・稍重 | 42- 34- 38- 723/ 837 | 5.0% | 9.1% | 13.6% | 53 | 54 |
ダ・ 重 | 11- 20- 22- 371/ 424 | 2.6% | 7.3% | 12.5% | 18 | 60 |
ダ・不良 | 10- 10- 14- 200/ 234 | 4.3% | 8.5% | 14.5% | 40 | 83 |
集計期間:2016. 1. 1 ~ 2020. 12.31
馬場状態では、芝の重・不良では、半年以上の休み明けでも、ソコソコ走っています。このページでは、休み明けの馬は「加速力」「最高速度の持続」の面で不利になると仮説を立てましたが、芝の重・不良はクッション値が下がり、スピードが出なくなりますので、整合性はあります。
ここまでをまとめると、以下の条件では、半年以上の休み明けを狙う余地が多少あります。
- リーディング上位騎手に依頼した馬
- リーディング上位厩舎(とくにノーザンF天栄、しがらきで仕上げた馬)
- 3歳秋~5歳の馬
- 大型馬(480キロ以上)
- 芝の重・不良
ただし、芝ダート問わず、半年以上の休み明けは基本的には狙うべきではありません。5週以上の休み明けが不利となる、マイル以下の距離(とくにダート)で、活用してみてもよいでしょう。
マイル以下の距離では、中5週以上の休み明けと連闘が不利。とくにダートでそう言えるが、芝でも多少当てはまる。
ただし、以下の条件を満たした場合、不利を跳ねのけることがある
- リーディング上位騎手に依頼した馬
- リーディング上位厩舎(とくにノーザンF天栄、しがらきで仕上げた馬)
- 3歳秋~5歳の馬
- 大型馬(480キロ以上)
- 芝の重・不良
(1700m以上では芝ダートとも、半年以上の休み明け以外は気にしなくてもよい)
なお、G2・G1でも、半年以上の休み明けを狙う余地が多少あることが、データから分かりました。冒頭のトウカイテイオーは、これにあたります。
奇しくも、有馬記念でトウカイテイオーが下したビワハヤヒデを生産した早田牧場は、その後倒産し、施設の一部がノーザンF天栄となり、(1700m以上の)休み明けの概念が変わった現在に至ります。
コメント