稍重・重・不良など、雨の競馬はどのように馬券を買えばよいのでしょうか? プラス決算をめざす方法を、わかりやすく説明します。
筆者 AIとレース観察を学べる競馬メルマガを10年間継続。3年連続GⅠプラス。
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雨の芝コースの狙い方には、法則性があった!|芝の重・不良
稍重・重・不良での狙い方は、データを正しく見ることが重要。最大の特徴は、重・不良で1~2番人気が勝ち切れなくなっていることです。
大前提として、道悪のデータを取る場合、出現数が少ないため、過去10年程度、条件(重賞、平場等)の区別なく集めることが必要です。3~5年程度のデータでは、重・不良の施行(試行)回数が少なく、極端なデータが出るため、誤解や錯覚が生じがちです。
大量のデータを分析すると、馬場は「芝の良・稍重」「芝の重・不良」「ダート(良・稍重・重・不良を問わない)」に3区分されます。よく見かける、芝の稍重・重・不良のくくり方よりは、こちらをおすすめします。
人気 | 勝率 | 単回値 |
---|---|---|
1~2番人気 | 重・不良 22.6% 良・稍重 26.0% | 重・不良 73.6% 良・稍重 79.2% |
3~7番人気 | 重・不良 8.9% 良・稍重 7.9% | 重・不良 90.6% 良・稍重 80.4% |
8~16番人気 | 重・不良 1.6% 良・稍重 1.4% | 重・不良 91.5% 良・稍重 63.4% |
芝の重・不良では、1~2番人気の勝率、回収率が大きく下がるのが特徴。3番人気以下はおおむね狙えますが、8番人気以降は勝率の落ち込みが激しく、実際の馬券購入には向きません。したがって、単勝3~7番人気が狙い目となります(ベタ買いでも9割を回収)。
では、なぜ芝の重・不良で、1~2番人気の勝率が落ちるのでしょうか? これは、近走着順の良い馬、つまり良適性のある馬が選ばれやすいからだと考えられます。
同様に、単勝オッズに目を移すと、7倍~30倍が狙いとなります。
芝の重・不良では、軽快なスピード型の1~2人気が地盤に脚を取られパフォーマンスケースが落ちます。狙いはズバリ3~7人気または単勝オッズ7倍~30倍の単勝です。「7・3の法則」と覚えておいてください!
芝の重不良と言えば、多くの人が覚えているのが、2023年の皐月賞です。
皐月賞では、5.2倍の2番人気、ソールオリエンスが勝ち、「7・3の法則」は発動せず。ただし、父がスピード・パワー兼用のキタサンブラックであることは、芝の道悪を理解する1つのポイントです。
続く最終レースを見てみます。馬場は引き続き重馬場です。
「7・3の法則」(3~7人気、7倍~30倍)の該当馬は7頭いました。
13番ビジンが勝ち、16倍の単勝が的中!
単純に芝の重・不良の全てのレースで単勝を「7・3の法則」で買い続けても、9割近い金額が戻ってきます。1・2番人気を買い続けた場合、約7割しか戻りませんので、ベタ買いとしては、優秀な成績で、勝てるロジックの「土台」になります。
勝ったビジンの父がキズナであることも、1つのヒントです。
道悪が多いG1として知られる高松宮記念。過去の結果はどうなっているのでしょうか?
例 重、不良で施行された高松宮記念(GⅠ)の勝ち馬
- 2023年(重) 12ファストフォース 12番人気(単32.3倍)1着
- 2022年(重) 2 ナランフレグ 8番人気(単27.8倍)1着
- 2021年(重) 14 ダノンスマッシュ 2番人気(単6.0倍)1着
- 2020年(重) 16モズスーパーフレア 9番人気(単32.3倍)1着
- 2014年(不良) 3コパノリチャード 3番人気(単7.7倍)1着
単勝オッズ32.3倍の惜しい回が2回ありましたが、雨の日7・3の法則(3~7人気または単勝オッズ7倍~30倍)で、2回的中しています。
G1では、トラックバイアスが重要ですので、トラックバイアスで枠順や脚質を絞り、候補とするオッズ帯を、単勝オッズ40倍程度にまで広げるのも、有効かも知れません。
ユーバーレーベンで全てわかる芝の重・不良の狙い方
もう少しだけ深めると、芝の重・不良馬場では、軽快なスピードよりは、パワーを備えたスピード(有名馬ではゴールドシップやその産駒のイメージ)を備えた馬が有利です。
こういった馬は、良の軽い馬場では着順を落とすため、人気を伴わないと言えそうです。
ユーバーレーベンは、パワーとスピードを兼ね備えた、ゴールドシップの産駒です。調教ではスピードを見せておらず、評価が低かったデビュー戦は、芝の不良馬場。父の特徴を受け継いだのか、4番人気で勝っています(7・3の法則に当てはまる)。
その後、良馬場のオークスを勝っているように、単なるパワー型の馬ではなく、スピードも兼ね備えていることが分かります。後述しますが、鞍上・Mデムーロ騎手も1つのポイントです。
なお、芝の重・不良馬場では、時計・上り・テンの速い馬は成績を落とすイメージがありますが、逆に成績を上げているという現象が起きています。確実に言えるのは、人気と、良・稍重/重・不良成績に関連が深いことです。
※さらに詳しく競馬を知りたい場合、メルマガ・マネードラゴン馬券塾にご参加ください。
重、不良は分けるべき?
芝の重馬場と不良馬場は、分けて分析した方が、正確なような気もします。
しかし、例えば、「芝の不良馬場、レース条件を問わず過去10年、1番人気」でデータを取ると、該当はわずか255件! 単勝万馬券1発で吹き飛ぶ、脆弱なデータです。投資理論をひも解くと、この条件で必要な統計分母は、約400。「重・不良」はセットにして分析すべきです。
雨(重、不良)の芝に強い種牡馬
結論ファースト 芝の重・不良
アイルハヴアナザー
ヴィクトワールピサ
エイシンフラッシュ
キズナ
キタサンブラック
クロフネ
ジャスタウェイ
ジャングルポケット
スクリーンヒーロー
ダノンシャンティ
ディープインパクト
トーセンラー
ドリームジャーニー
ネオユニヴァース
ハービンジャー
パイロ
メイショウサムソン
リオンディーズ
道悪での狙い馬の分析として、定番中の定番が血統予想です。まず、血統予想はデータ分析的に正確なのかどうかを検討します。
芝の重、不良を、レース条件問わず、過去10年で分析してみます。
すると、2番目に出走数が多いダイワメジャー産駒ですら、わずか514回の出走。統計のベースとしてはかなり怪しく、単勝の中穴数発でかなり狂うデータです。
このレベルの統計では、5000円の中穴が6回出ただけで、回収率が5ポイントも上がります。
出走数 | 単勝投資額 | 単勝回収額 | 回収率 |
500 | 50,000円 | 40,000円 | 80% |
506 | 50,600円 | 43,000円 | 85% |
出走数10位のキズナに至っては、わずか190の出走。50倍の単穴1発でも狂ってしまうデータです。
出走数 | 単勝投資額 | 単勝回収額 | 回収率 |
200 | 20,000円 | 16,000円 | 80% |
201 | 20,100円 | 21,000円 | 104% |
このように、重・不良の種牡馬ごとの分析は、「激走しているように見える」「苦手なように見える」といった、錯覚のオンパレードになってしまう可能性があります。
道悪に強い種牡馬を分析する各サイトは、どの程度の年数を調べているのでしょうか?
人気サイトを調査した結果、以下のようになりました。
調査期間 | サイト数 |
2年 | 4 |
4年半 | 1 |
5年 | 1 |
記載なし | 3 |
10年調べても、産駒の出走数1位のディープインパクトくらいしかあてにならない現状で、2年はかなり心もとないです。
もちろん、種牡馬のトレンドは変化のスピードが速いので、2年でという理由だと思います。こう述べている筆者も、統計を理解できたのは、恥ずかしながら、ここ数年の話です。もとより、データ的に正確ではなくても、観察のヒントとなりますので、記事の存在意義を否定するものではありません。
しかしながら、採用が多い2年間のデータでは、産駒出走数が多いロードカナロアや、ハーツクライですら、100程度のデータであり、単勝万馬券どころか、25倍程度の単穴でも狂ってしまうデータです。本来の必要数は1000。2年間のデータでロードカナロアやハーツクライを論じるのは、著者が馬体や走りとあわせて判断している場合以外は、誤っている可能性も大きいです。
もし参考にする場合は、著者が統計の限界を承知の上、馬体や走法と照合し、統計の弱点を補って論じている書籍やサイトがおすすめです。
競馬雑誌なら確信犯?
調査した各サイト様は、真摯に記事を書かれていましたが、もし競馬雑誌に登場するような統計のプロが、2年間のデータで道悪の種牡馬を論じてきたら? これは、あえて2年間に区切ることで、粗いデータとなり、儲かりそうな種牡馬が続出し、記事として成り立つからです。
道悪の予想では、種牡馬は参考にならないということになりますか?
いいえ、そうとは言い切れません。種牡馬単独でなく「系統」として分析すれば、データが十分ですので、参考になります。また、データだけに依存せず、データをヒントにしつつ馬の「馬体」「走法」などを見ている、専門家の意見なら十分価値があります。
純粋にデータとして考える場合、統計分母の薄さは致し方なく、単勝万馬券など高配当を軽視する統計手法があります。
下の表は、数年から5年に1度激走し、回収率の数値を稼いでいる様な人気薄を軽視して算出した「期待度」です。この操作は、よく使われているターゲットフロンティアでは難しいものです。
種牡馬名 | 出走数 | 勝率 (%) | 期待度 |
---|---|---|---|
パイロ | 58 | 12.1 | 438.8 |
キタサンブラック | 56 | 17.9 | 414.1 |
アイルハヴアナザー | 85 | 5.9 | 372.8 |
ジャングルポケット | 291 | 6.5 | 242.4 |
クロフネ | 209 | 4.8 | 201 |
トーセンラー | 66 | 7.6 | 146.6 |
ダノンシャンティ | 119 | 5.9 | 117.1 |
メイショウサムソン | 156 | 9 | 112.6 |
スクリーンヒーロー | 208 | 10.1 | 110.5 |
エイシンフラッシュ | 192 | 8.9 | 104.1 |
リオンディーズ | 79 | 10.1 | 103.6 |
ネオユニヴァース | 206 | 7.3 | 101.6 |
キズナ | 242 | 11.2 | 100.2 |
ヴィクトワールピサ | 241 | 6.2 | 98.2 |
ディープインパクト | 1151 | 12.6 | 91 |
ハービンジャー | 501 | 8 | 90.8 |
ドリームジャーニー | 83 | 13.3 | 87 |
ジャスタウェイ | 179 | 6.1 | 85 |
2023年の皐月賞デーの最終レース(重馬場)で16倍の穴をあけたビジンは、キズナ産駒でした。キズナの道悪適性については、「苦手」という人、「得意」という人で真っ二つ。正しい統計の見方が出来れば、お金になることが分かります。
ただし、ベタ買いをするなら的中率は最低20%は必要。芝の重・不良でベタ買いをするなら、2023年の重馬場の皐月賞を快勝したソールオリエンスの父、キタサンブラックがギリギリというところでしょう。ほかは、別のデータとかけ合わせが必要です。
ちなみにキタサンブラック産駒を重・不良で買う場合は、ある程度人気がある馬に絞ると好成績となります。
未勝利戦では、筆者発行の専門メルマガも参考にしてみてください。
血統を本格的に勉強したい方は、下の書籍がおすすめです。
雨(重、不良)の芝に強い騎手
雨(重、不良)の芝に強い騎手のデータです。
種牡馬データ同様、分母数に注意し、数年から5年に1度激走する様な人気薄での数値の跳ね上がりを軽視し、さらに近年の出走数が減っている騎手を除いた、使えるデータです。
原則、実質回収率順に並べましたが、再現性がやや弱い、菅原明良騎手などは、統計的に処理し、少し順位が下がっています。AIが、出走数が増えたら、回収率は90台に落ちるかもしれないと判断しているということです。
騎手 | 出走数 | 単勝的中率 | 実質単回値 | |
横山 和生 | 130 | 10.8 | 215.1 | |
川須 栄彦 | 161 | 4.3 | 160.1 | |
内田 博幸 | 209 | 7.7 | 129.8 | |
鮫島 克駿 | 242 | 8.3 | 118.8 | |
秋山 真一郎 | 178 | 5.6 | 113.7 | |
国分 優作 | 192 | 4.7 | 112.7 | |
池添 謙一 | 173 | 11.6 | 110.6 | |
菱田 裕二 | 201 | 5.5 | 97.2 | |
幸 英明 | 328 | 7.3 | 92.6 | |
菅原 明良 | 110 | 9.1 | 108.1 | |
斎藤 新 | 127 | 7.9 | 103.7 | |
M.デムーロ | 229 | 19.2 | 90.8 | |
丸山 元気 | 168 | 9.5 | 98.8 | |
横山 武史 | 114 | 14 | 91 |
雨脚が強まるなか発走した、2023年のNHKマイルカップ。G1では、売り上げが落ちる重、不良発表は慎重に行われるという説があります(馬場状態の数値計測は、朝の段階だけで、以降は職員が目視等で判断しています)。その意味では、実質重馬場だった可能性があるなか、重・不良に強い、内田博幸、横山武のワンツーで決まりました。
もう一度、重・不良に強い騎手を見てみます。
横山和生 川須栄彦 内田博幸 鮫島克駿 秋山真一郎 国分優作 池添謙一 菱田裕二 幸英明 菅原明良 斎藤新 M.デムーロ 丸山元気 横山武史
内田博幸、M.デムーロ騎手に代表される、追える騎手が目立ちます。芝の重・不良では、地盤に脚を取られ、馬は消耗しがちですが、そこを動かせるということでしょう。Mデムーロ騎手は、ユーバーレーベンを、不良馬場の新馬戦でハナ差で勝たせています。
川須栄彦騎手は、最近は勝ち鞍も減り、穴騎手となっていますが、不良馬場の未勝利戦で、12番人気をエスコート(単勝9760円)。
スピード不足で、前走は単勝341.8倍で17着に終わったこの馬でしたが、序盤にムチを入れ何とか追走。直線は、ムチを17発も入れ、勝ち切りました。ムチ17発は海外では違反となる国もありますが、日本では「連続10発以内」となっており、制限ギリギリでの勝利でした。
なお、上に選んだ騎手は、ある程度標準的な人気帯でもコンスタントに的中が出る騎手です。つまり、追いかけても何とか資金が持つため、こういった大穴を引っかける可能性もある騎手です。
一方で、鮫島克駿、秋山真一郎のように、馬任せで進む騎手もいます。悪い馬場のなか、無理に位置を取らせないため、直線での爆発力につながるのかも知れません。
後半は、雨のダートの解説となります。
雨のダートコースの狙い方はこれ!
上述のように、ダートにおいては、統計的に見ると、良、稍重、重、不良の馬場状態ごとに、芝ほどの違いはありません。
まず、1・2番人気馬の過去10年の成績です(ダート)。強いて言えば、不良馬場で少し成績が落ちますが、件数が少なくサンプル不足ですので、この程度の差なら、変化なしと見てよいです。
ダート馬場状態 | 出走数 | 単勝的中率 (%) | 単勝回収率 (%) |
良 | 20530 | 25.8 | 79.6 |
稍重 | 7204 | 26.4 | 80.3 |
重 | 4056 | 25.4 | 78.8 |
不良 | 2245 | 24.7 | 75.9 |
つぎに、3~7番人気。芝の重、不良なら狙えるゾーンです。こちらも、馬場状態による変化なし。
ダート馬場状態 | 出走数 | 単勝的中率 (%) | 単勝回収率 (%) |
良 | 51311 | 7.9 | 81.5 |
稍重 | 17986 | 7.7 | 76.8 |
重 | 10129 | 8.1 | 81 |
不良 | 5607 | 8 | 82 |
同様に、8番人気以下でも計測しましたが、やはり変化はありませんでした。結論としては、ダートの道悪では、全体に馬場状態を気にする必要はないと言えます。
これは重要! ダートでは「重・不良」を論じる価値は大きくないです
- 芝 …馬場状態で、人気別の回収率が10%(10ポイント)前後動くこともある。
- ダート …馬場状態による、人気別の回収率の変化は数%(数ポイント)程度。
一方、もう少しデータを深掘りしてゆくと、ダートは、稍重・不良でやや特殊な傾向があります。総じて、人気馬がやや有利になります。
- 稍重 …砂が締まり「速度制限のない馬場」になるため、時計実績のある人気馬は有利。なお、よく言われる前有利は、スピードのある人気馬が前に位置取りをしがちという結果と思われます。持ち時計が速い馬は人気になりますので、人気馬が有利です。
- 不良 …泥んこになり「速度制限のある馬場」になるため、後方に位置取りをしがちな人気薄の各馬は届きません。結果、人気馬が有利です。
クルマに例えると、次のようなイメージで良いでしょう。
馬場状態 | イメージ | 最高速度 | 競馬なら差しは可能か? |
芝(良・稍重) | 高速道路 | 120 | 上がり(最高速度)の速い馬が差す |
芝(重・不良) | 4WD向き、路盤が悪い高速道路 | 100 | 前が止まり、スタミナを温存できた馬が差す |
ダート(良、重) | 未舗装道路 | 70 | 強い馬なら差すことも(上級条件、オープン馬) |
ダート(稍重) | 速度制限のない未舗装道路 | 80 | 人気薄はスピード不足で後方のまま |
ダート(不良) | 速度制限のある未舗装道路 | 60 | 人気薄は後方につけることが多く差せない |
とはいえ、大きく見ると、①芝の良・稍重(最高速度120)、②芝の重・不良(最高速度100)、③ダート(最高速度80前後)に分けるのがポイントです。
調教師は、新しく入ってきた馬の最高速度を見極めます。例えば110キロくらいは出せると判断するなら、東京や阪神では、直線で追い越されます。そのため、小倉や福島に出してみたくなります。また、4WD車だと判断するなら、天気予報とにらめっこし、重・不良馬場に出走させます。
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なお、ダートの道悪のイメージは、海岸の波打ち際で説明されることがあります。稍重は、砂としては脚元が固まるため時計が出やすい。不良は、田んぼのようになり脚を取られる。
上の説明は誤りではありませんが、砂は、どんなに水を含んでも砂は砂。その性質は強く、芝馬が走れるわけではないことは、知っておく必要があります。
重要なのでくり返しますが、ダートの稍重は、芝に近い性質を持つわけではありません。あくまで、パワーがあるダート馬を狙ってください。簡単に言えば、持ちスピードが速いことが多い、人気馬が狙い目です。
逆に、砂煙が上がるような、カラカラに乾いた良馬場では、筋骨隆々としたダート馬を買うべきというイメージがあるかも知れませんが、そういった馬は、稍重や不良でも普通に有利です(砂か泥かの違いだけ)。砂煙が立つイメージから誤解しやすいですが、データからは、ダートの馬場状態ごとの要求の差は、わずかです。
道悪での平均時計
馬場状態 | 平均勝ちタイム | 良馬場との差 |
---|---|---|
ダ・ 良 | 1:54:6 | |
ダ・稍重 | 1:54:5 | +0秒2 |
ダ・ 重 | 1:53:3 | +1秒3 |
ダ・不良 | 1:52:4 | +2秒2 |
ダートの基本的な距離である1800mを見ると、馬場が悪化するにつれ、時計が1秒ずつ速くなってゆくことがわかります。一見、軽い高速馬場になっているように感じられますが、パワーとスタミナが問われるという本質に差はありません。
ダートの不良馬場は、全体時計は速いのですが、最高速度制限があるため、平均的に脚を使う先行馬に適性があり、差し馬(たいてい人気がない)は間に合わないと言えるかも知れません(ここは研究中)。また、不良は、馬にとってストレスとなる馬場でもあり、精神的な適性が問われることもあり、やや不可解な決着になることもあります。
馬場状態 | 平均勝ちタイム | 良馬場との差 |
---|---|---|
芝・ 良 | 1:48:3 | |
芝・稍重 | 1:49:3 | △1秒 |
芝・ 重 | 1:50:7 | △2秒4 |
芝・不良 | 1:52:2 | △4秒1 |
一方、良馬場での勝ちタイムが、約6秒も速いのが芝。完全にスピードが問われています。しかし、2~4秒遅い重、不良では、勝ち馬のタイプは大きく入れ替わります(スピードだけでなく、パワーを兼ね備えた、ゴールドシップ型の馬)。
ダートでの「戻りの稍重」は考慮すべき?
ダートでは、馬場が回復する過程の「戻りの重」「戻りの稍重」は、馬場の内側の方が乾きが早く、内枠不利という考え方もあります。しかし、科学的に見れば、「戻り」だけを抽出して何かを言うのは、統計数的に難しいです。
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AI予想は道悪(稍重・重・不良)をどう狙う?
ここまで、アナログ予想を前提に、道悪の馬場の見方を説明してきましたが、AI予想は、道悪をどのように扱っているのでしょうか?
AI予想と言っても、プログラムは多数ありますので、ここでは公約数的な説明となります。
大前提として、AI予想では、統計の分母(施行回数)数と再現性を重視します。そのため、馬場状態やコースなどで、細分化することを避けることが原則です。AI予想家によっては、芝とダートを分けるかどうかを迷うこともあるくらいで、想像以上に巨視的な見方がされています。
まず芝の重、不良ですが、AI予想が、その期待値から狙うことが多い中位人気のパフォーマンスが良い傾向があります。そのため、多くのAI予想家は、重、不良を別建てにする必要は、感じていないのではないかと想像します。
ダートについては、そもそも芝ほど馬場状態の差は出てきません。そのため、多くのAI予想家が、馬場状態による分岐は採用していないと想像します。ただし、ロジックの立て方によっては、上位人気のパフォーマンスが上がってしまう稍重、不良は、投資対象から除外する形を取っているかも知れません。
AIについては、下のページに分かりやすく説明をしています。
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