冬のダートは時計がかかる? 凍結防止剤の影響と馬券攻略

マネードラゴン馬券塾
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冬のダートは重く時計がかかる? 凍結防止剤や、冬場の乾燥のダートへの影響と、馬券攻略をわかりやすく説明します。

筆者 AI×未勝利戦の競馬メルマガを8年発行。2022年はGⅠを14勝。

結論ファースト

結論としては、仮に大雪予報の前日であっても、凍結防止剤の散布量は以前よりは少なくなっています。予報が外れ雪や雨が降らなかった場合は、「乾燥期のため、脚抜きが悪く時計がかかる」要素の方が大きいです。予報通り雪や雨が降った場合は、「馬場が湿り、脚抜きが良く時計が速くなる」要素が大きくなります。

厳冬期の良馬場では、未勝利戦では逃げ・先行馬がやや優勢。1勝クラス以上では、脚質に差はありません。稍重・重・不良では、どのクラスでも、時計が速い逃げ・先行馬が有利です。

冬のダートは重く時計がかかるは本当か?

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重いダートとは、力が必要で時計がかかるダートです。一般には、砂厚が厚いことを指すこともありますが、JRAでは、砂厚は9cmに統一のため「乾燥して脚抜きが悪い」ことを指します。

JRAの「重いダート」

  • × 重馬場、稍重馬場 =時計が速い
  • 〇 乾燥して脚抜きが悪い馬場 =時計がかかる

まず冬のダートが、本当に「乾燥して脚抜きが悪い」のかどうか、走破時計から確認します。年間を通じて、施行数が多い、中山・阪神・新潟・中京1800mダートの走破時計(1~5人気の平均、過去5年)を見てみます。

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ダート競馬は、「雨季」と「乾季」に分けると、わかりやすいです。梅雨の6月から台風の9月までは、降水量や高い湿度の影響で、馬場が湿り時計は速くなります。

一方、「乾季」のなかでも、乾燥が進む11~2月にかけて、時計が遅くなっています。よって次のことは言えそうです。

11~2月のダートは、乾燥して脚抜きが悪く時計がかか

かつては、「凍結防止剤が砂を固め時計を速くする」(角居調教師、2016年の発言)という説もありました。しかし、現在は、馬場造園課が必要十分な凍結防止剤の量を見極めつつあるため、散布量が減り「冬のダートは時計が遅くなる」が定説です。

結論としては、仮に大雪予報の前日であっても、凍結防止剤の散布量は以前よりは少なくなっています。予報が外れ雪や雨が降らなかった場合は、「乾燥期のため、脚抜きが悪く時計がかかる」要素の方が大きいです。予報通り雪や雨が降った場合は、「馬場が湿り、脚抜きが良く時計が速くなる」要素が大きくなります。

ダートが重くなり、時計がかかると、どの脚質が強くなるのか?

結論ファースト

冬のダートは(凍結防止剤と無関係に、良馬場なら)重くなり、未勝利では逃げが有利。1勝以上では逃げ・差し互角。

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乾燥が進みダートが重くなると、逃げ馬がスタミナを消費し苦しくなるのか、あるいは後方の馬もスタミナを消費し、前が残るのか、難しいところです。データを見てみます。

脚質は、未勝利と条件クラスでかなり異なります(未勝利では差し・追込の成功率が低い)。そのため、未勝利戦と、1勝以上で分けてデータを取る必要があります。

中山・阪神・中京・新潟コース(過去5年)

ダートのデータは、雨季(6〜9月)と乾季(10〜5月)に分けて見るのがポイントです。なお、このデータは、1〜5人気ですので、追走に苦労するような人気薄は含まず、差し・追込に不利な集計とはなっていません。

今回は冬がテーマですので、乾季を見ます。

まず、未勝利戦は、逃げ馬の勝率が、差し・追込馬の勝率を上回っています。一方、1勝クラス以上では、逃げと、差し・追込が互角です。1月は逃げ馬が有利に出ていますが、統計数の関係のバイアスと思われ、実際に複勝回収率は両者がほぼ互角です。よって、乾季は両者が互角と言えます。

雨季(6~9月)乾季(10~5月)
未勝利互角逃げ優勢
1勝以上逃げ優勢互角

冬季を含む乾季は、未勝利ではスタミナ切れで差しづらくなり、逃げ馬が優勢と考えられます(ゴール前で、逃げ馬も差し馬も脚が止まる)。1勝クラス以上では、ペースも上がるため、(ダートは根本的には前が有利ですが)前がスタミナ切れでつかまりやすくなると考えられます。

スタミナとは、クルマで言えばガソリンタンクの大きさです。未勝利の馬は小型車に例えられ、ガソリンを消耗する条件の場合、直線では全車のガソリンがカラになりますので、そのまま前にいた車が、惰性でゴールに早く着くとイメージしてみてください。1勝クラス以上は、ガソリンタンクが大きめの車ですので、直線でも節約して走ってきた後方勢は、ガス欠になりません。

冬のダートは(凍結防止剤と無関係に、良馬場なら)重くなり、未勝利では逃げが有利。1勝以上では逃げ・差し互角。

ダートが重くなると、大型馬が有利か?

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厳冬期の重いダートは、大型馬が有利なイメージがありますが、データはどう出ているでしょうか?

このように、冬場を含む乾季(10~5月)に、大型馬が特段に強いということはありませんでした。ただし、年間を通じて、ダート(1800m、中山・阪神・中京・新潟)では、大型馬の方が強くなっています。

11~2月のダートは重くなるが、特段に大型馬有利とは言えない。ただし、通年で大型馬は有利。

凍結防止剤や散水の影響は、本当にあるか?

結論ファースト

冬のダートは乾燥し重くなるが、これは季節的なものであり、凍結防止剤、散水の有無はほとんど関係がない。

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ダートが重くなり、時計がかかること、未勝利では前有利になることが分かりましたが、その原因は「凍結防止剤」なのでしょうか?

このことは少し重要で、対応に差が出てきます。

  • 凍結防止剤が理由の場合 …JRA公式などで凍結防止剤散布日を把握する必要がある。
  • そうでない場合 …季節的なものなので、散布日を把握する必要がない。

騎手は砂と一緒に蹴り上げられ、騎手のゴーグルにくっつき視界がさえぎられることから、凍結防止剤を嫌います。同時に、馬場造園課の経験値(馬場が凍り付かないギリギリの量を把握)の積み上げもあり、近年、凍結防止剤の散布量は減っているため、影響は少なく「降水量が減り空気が乾燥している」という点が大きいでしょう。

凍結防止剤の散布量が減っても、ダートへの散水が減る影響が大きいと指摘する専門家もいますが、その影響は、少ないと考えられます。

JRA公式Facebook

JRA公式見解 散水は砂ぼこりを止めるために行っている

JRA公式見解 散水の影響は馬場状態には余り影響がない

乾季のなかで、散水がありそうな時期と、凍結防止剤を使用の可能性がある時期を推定してみましたが、あまり影響は、見られないようです。

冬のダートは乾燥し重くなるが、これは季節的なものであり、凍結防止剤、散水の有無はほとんど関係がない。

凍結防止剤×稍重・重は気にすべきか?

凍結防止剤は、雨で水分量が多い場合は流出し、晴天続きでは乾き切って影響力を失います。

強いて言えば、適度に湿った状態で水分と結びつき、「粘り気」を出すと考えられますが、使用頻度や量が減っていることから、神経質に考えなくても良いでしょう。

  • 晴天 …乾き切り影響は少ない。
  • 少雨、少ない雪 …多少粘り気は出るかもしれないが、気にする必要はない。
  • 雨 …流出し影響は少ない。

厳冬期のダートで狙うべき馬券は?

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厳冬期のダートでは、どのような馬券を狙えばよいのでしょうか?

  • 厳冬期の未勝利(中距離)では、多少前が強くなる。短距離はもともと前が強い。
  • 1勝クラス以上では、逃げと差し・追込は互角。
  • 稍重、重、不良で、高速馬場となった場合、クラスを問わず「強い逃げ、先行馬はスタミナの消費が少なく有利」「人気薄は、時計が速すぎ対応できなくなり不利」→よって、前々の人気馬。
厳冬期の良馬場稍重・重・不良
未勝利逃げ先行優勢時計の速い逃げ・先行馬優勢
1勝以上脚質は互角時計の速い逃げ・先行馬優勢

凍結防止剤とは何?

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凍結防止剤とは、そもそも何ですか?

はい。道路などで使用される、一般的な凍結防止剤は、上のような塩化カルシウムです。

競馬場で使用している凍結防止剤は、軽種馬育成調教センターの資料(PDF)によれば、 塩化カルシウムだけでなく、塩化マグネシウムも併用しているようです。塩化マグネシウムは、2週間効果があるとされ、近年の長めの散布間隔とも合います。

JRA Facebook

水は、気温が下がると、分子がくっつき氷になる性質があります。凍結防止剤は、水の分子と分子の間に割り込み、分子がくっつくのを防ぐ作用があります。

凍結防止剤の使用頻度や使用量は激減!

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凍結防止剤の使用頻度や使用量は激減していると聞きましたが?

はい。その通りです。例えば、全国的に大雪になり、関東でも気温が低かった、2017年の年末から2018年の年始にかけての1か月間、中山競馬場では、凍結防止剤の散布はわずか1回でした。この間、最低気温が氷点下となった日は、12日間もあります。

中山競馬場凍結防止剤主なレース
12月21日(木)使用 
12月23日(土)使用なし中山大障害
12月24日(日)有馬記念
12月28日(木)ホープフルS
1月6日(土)中山金杯
1月7日(日) 
1月8日(月) 
1月13日(土) 
1月14日(日) 
1月20日(土) 
1月21日(日)AJCC

凍結防止剤があまり使用されなくなったのは、薬剤を馬が砂と一緒に蹴り上げ、騎手のゴーグルにくっつき、視界がさえぎられ、危険だからです。また、広い競馬場にまんべんなく凍結防止剤を使用すると、経費がかかりすぎるという側面もあります(1回数百万円を要するともいわれます)。

JRAでは、競馬開催日の前日は、徹夜で馬場を監視し、人力で馬場をかき混ぜ氷結を防止することもできます。経験を積み、凍結防止剤の分量も減らすことができたようです。

厳冬期のダート(良馬場)で狙うべき血統はどれか?

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厳冬期のダート(良馬場)では、どの血統を狙えばよいのでしょうか?

はい。参考になりそうなのが、ダートにも強い競馬評論家の真田理氏が、2021年に競馬雑誌に寄稿した「厳冬期のダートで狙える馬のリスト」です。

リストに挙げられた馬の父(種牡馬)、母の父を、当ブログで調べてたところ、ダートの長めの距離に強い種牡馬が、約半数で見られました。

ダート2000m以上の良馬場、複勝率ランキング(2017~2020年)

種牡馬勝率複勝率単勝回収値複勝回収値
サマーバード7.00%55.80%26184
スクリーンヒーロー21.20%42.40%95102
ナカヤマフェスタ3.80%42.30%93144
ジャスタウェイ11.10%37.00%97101
エイシンフラッシュ5.70%31.40%31148
ロージズインメイ14.30%30.40%11699
ディープインパクト10.70%28.60%76100
キングカメハメハ10.30%28.50%352160
ヴィクトワールピサ6.90%27.80%21095
フリオーソ18.60%25.60%18064
アグネスデジタル7.10%25.00%18696
オルフェーヴル9.10%24.20%14582
キングヘイロー2.60%23.70%12115
ゴールドアリュール8.70%22.60%11672
ハーツクライ8.30%20.70%15272
タートルボウル8.00%20.00%16486

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